スタッフインタビュー vol.3

木村誠さん

 会社にお勤めする傍ら2016年に初めて向源のスタッフ説明会に参加し、以後毎年スタッフとして向源を支える。2016年:当日券・総合受付担当、2017年:門番・本堂受付、2018年:総合受付(当日券販売)・本堂受付を務める。

– お仕事は何をしてらっしゃいますか?普段のお休みは何をして過ごしていますか?

 メーカーで働いてまして、作ってるものは電車だったりするんで結構マニアックなお仕事をしています。で、休みの日はたいがいはどこかお寺か神社かふらっと行くのが多くて、あとは、猫カフェ(笑)。猫を愛でるのが好き。

– 向源を知ったきっかけは何ですか?

 もともと神社や仏閣が好きって訳でもなかったんです。話すと⻑いですけど、数年前に会社でいろいろあって2週間くらい会社を休むことができることになった時に、その時に全く仏教というか宗教系とは関係ない会社の人から「お前、暇だったら四国でも回ってくれば」と言われたんです。「四国か、行ったことないしな」と。

 じゃあ行くとなったらマニア心が働いて、ちゃんとカッコつけないといけないと思って、杖買って、白衣着て、菅笠かぶって、般若心経も一通りつっかえない程度に読めるようにして行きました。回ってくると結構面白かったです。何も考えずに、次のお寺に向かう事だけを考えて、1週間2週間を過ごして来たのがおもしろくて。

 四国は行くのが大変だから近くにないかなと思ったら、坂東観音巡礼やもっと範囲の小さい秩父観音巡礼がありました。向源を知ったのはそれらも回るようになって、お寺いいなぁと思ってた時でした。あと、20年くらい前からボランティアスタッフやってたイベントを自分が卒業しようという時期でもありました。

 このまま何もやらないで終わるのはつまらないと思っていたところ、ちょうど寺社フェス(向源)というのが立ち上がってます、ボランティアスタッフ集めてます、というのをホームページで見て、じゃあ行ってみようかなと。向源がなにかをイメージしてきたわけではないですね。

– スタッフ説明会に参加してどうでしたか?

 自分が説明会に行った時は浅草神社で説明会をやってたんですけど、スタッフ説明会の前に正式参拝から始まりました。「神社の体験をみんなでしましょう」というところから始まるのを見て「なんかすごいなこのイベント」と思いました。

 正式参拝から戻ってきて、まだつかみどころがないというか、お客さんとして向源に行ったことがなかったので、何をすればいいのかよくわからないまま説明を聞いていました。説明の中に「スタッフには2種類ありまして、事前からか関われる方と当日だけやりたい方を募集しています」というような話になっていました。

 事前から募集していたのはホームページ作れる方とか印刷物作れる方とかで、自分はそういうのはできないから当日だけでいいやと思ってたんです。ただ、そこでスタッフ心が働いちゃったんですね。何もできないけどこれからもスタッフ説明会が何回かあるからその運営というか、会場のセッティングとかを手伝いますよって感じで関わるようになりました。

– 参加してみてわかったことや変わった部分はありますか?

 イベントの名前も「向源」っていうのは怪しい雰囲気が漂うのが…(笑)。向源って言われただけじゃ何がしたいのかわからないじゃないですか。新しい宗教でも始まるのかな?でもそんなことは全然なかったというのが、行ってみてわかった感じですね。

 初めて参加した年は日本橋会場で、とにかく人がたくさん来るらしいとか言う話になっていて「人並みを捌くのは20年間培ってきた何かがあるのできっとできますよ」という話をして、じゃあ関わろうかと(笑)。

 2016〜2018年まではお寺がメインだったので、お坊さんとの距離は近くなったなと。巡礼などで初めて行くお寺でも、お坊さんと話すときは「あ、お坊さんだ」とか身構えなくなりましたね。「こんにちは」から始められるようになって、お坊さんが特別という感じはなくなったかなという気はしますね。神社やお寺がもっと身近に感じられるようになったのは大きいですね。

 それこそ以前はお坊さんは偉い人で難しい話をして、よくわからないけどありがたいことを話してるんだろうなというイメージでした。でも向源で普段着のお坊さんと話して、「なんだ普通の人じゃん」と思うようになったかな。普通に会話もできるし、普通に人間だし、なんならTシャツ着て歩いてるし(笑)。

 そんな格式張らないというか、身構えないで普通に話せるのかなというのはありますね。こういう宗派を超えてとりあえず遊ぼう見たいなイベントに関わるお坊さんというのはご自身も開いてるのかなという気はします。

– お寺や神社を身近に感じられて生活に変化はありましたか?

 あんまり大きくは変わってないんじゃないかな。でもベースには仏教というかお経の精神が流れるようになってきたのかなと思います。

– ご自身にとって向源はどういう存在ですか?

 言っていいのかな、ぶっちゃけ暇つぶしです。肩入れする物ではないんですよ、自分としては。こうやってインタビュー受けてる時点で肩入れしてると言われるかもしれないけど、自分の生活を削ってまで突っ込むことではなく、「やれる範囲でやれることをやってみましょうか」というのが自分の中の向源です。遊びですね、あくまでも。遊びの中でもお坊さんと知りあったりして、人の輪は広がっていくなという感じはしています。

– スタッフで入った向源の現場はいかがでしたか?

 日本橋の時には総合案内当日券売り場をやっていました。スタッフに応募する時は「できれば現金を扱いたくないです」と伝えていたにもかかわらず、開催2 週間前くらいにいきなり「当日券売り場をやってくれないか?」と言われました。

 「スタッフをまだ一回もやったことないのにいいんですか?」と言ったら、「いやしかたがない、やってくれないか?」と言われて、「うわー無茶振りするなこのイベント」と思ったりしながら(笑)。でも他にもいないみたいだし、困ってるみたいだからやりますよと言ったんです。

 そして、当日の朝に日本橋の会場に集合したのはいいんですけど、「当日券売り場に5人スタッフ配属したけど何人来ている?」と言われた時に、自分ともう一人がサブリーダーだったんですが、その他にはリーダーと「3人しかいません!みんなドタキャンしたみたいです!」となってて(笑)。

 これは流石に回らないよねとなって、他から人を借りて回しました。それも今となってはそんなこともあったよねと言えることなんですが、スタッフやっていきなりそんなことになりました。今はそんなことはないと思うんですけど、ないのかな?ないよねきっと(笑)。そこまで無茶なことはないはずなんで。

 その時にみんな痛い目みて知ってるんで、今はそんなことが起きないように前もって準備してやってますよっていうところですね。

– それを乗り越えて一緒にやっていた人たちとは今はどうですか?

 何回かあってるかな。プライベートだったりスタッフのミーティングの後にご飯でも食べようかとか行ったりとかやってますね。

– まだ向源に来たことがない人に伝えるとしたらなにを伝えますか?

 お客さんとしてきてなにがおもしろいかは今年のコンテンツがまだはっきりしてないので直接的なことは言えないですけど、他のイベントよりは超宗派なのでいろんな宗派宗旨や、それこそキリスト教の牧師さんまで来るくらいなので、色々な人たちとお話できます。

 話ができるとそれぞれの違いも分かるし、根底に流れてる同じ部分も分かるというのはおもしろいです。前回(2018年)で言うと、仏教プラクティスから始まって声明講演を見ると、6宗派の色んな体験ができました。坐禅体験とか瞑想体験から始まって、3宗派の声明が聴けて、1日でこれだけ楽しめるのはおもしろいですよね。逆にスタッフじゃなくてこれやりたいと思ったくらいだったな。

 スタッフとしておもしろいのは、向源はフェス、お祭りなので、高揚感やお祭りを作り上げていく達成感は感じられるんじゃないかなと思いますね。無事に終わったって重要ですよ。けが人もなく、こまごまとしたことはあっても大きなトラブルもなく、「あー、よかった、終わった」というのは重要じゃないかな。

– また次回もスタッフをやりたいと思いますか?

 おもしろいのでもちろん続けていきたいと思います。前に友光代表が「神社とかお寺でボランティアスタッフしても別に徳積めないからね」というようなことを言ってたんですけど、自分的には多分積めてるんじゃないかなと。これで少しでも仏教というかお寺に親しんでくれて、お寺に行こうと思う人が増えるといいなぁと思いながら続けている部分はあります。

– お寺に来る人達の表情を見て、お寺に来る人が増えそうとか、楽しんでくれてるなとかそういう感じはありますか?

 笑顔の人が多いので、楽しんでくれてるのかなと思います。次につながるかどうかは分からないけど、向源のこの場は楽しんでくれてる、お寺に来て楽しんでいるという体験ができているのではないかなと思います。

– スタッフをやるのに躊躇している人がいたらなんて声を掛けますか?

 まずは怪しい団体じゃないからねというところから始めますね。それこそ向源って聞いただけじゃ「なんだそれ?」と思うと思います。聞いただけじゃわからないから文字にしてみると更に訳がわからなくなるぞこれはという(笑)。

 怪しくないからねというと更に怪しく見えるわけですけどね。でも来ればおもしろい、間違いなく。普段ではできない体験ができます。お寺のご本尊を間近に見られたりとか、会場を貸してくれたお坊さん、お寺さんと縁がつながって、近くを通れば寄ってみて「どうも」とご挨拶したり、そんな感じで来れば楽しめるのは間違いないです。

 「自分は何もできないから」という人も、向源は色んなお仕事というかやることがあって、その人ができる仕事というのが必ずあるはずです。もちろんそれを見つけるのも、事務局というかスタッフ班が人選や割り振りをするので、何もできないと言ってもちゃんとできるよ、大丈夫ということだけは伝えておきたいなと思います。

– 最後に皆さんに一言お願いします。

 向源は面白いので、まず一回来てみて下さい。お客さんとしてくるのもアリだし、スタッフをやりたいと思っている方はスタッフ説明会に来てください。くればちゃんと楽しめるように準備します。まずは顔出してねと、伝えたいです。

取材・文・写真:吉田貴洋   取材協力:蟠龍寺


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